このところ国境を越えたコピー製品のようなものをご紹介してきましたが、今週のアイテムも、ある意味で国境を越えた二重国籍者のような製品です。
写真のアイテムは Week 36 と Week 37でご紹介したアメリカ製のクロウです。
クロウについて、以前の説明をここで繰り返しますと・・・・
”アメリカはニュージャージー州ニューアーク(今は飛行場のあるところですが、古くから工業地帯として有名ですね)に住んでいた
W.ロックウェル・クロウという人が1876年に特許を取ったものです。
コルクスクリューを見る限り特許の対象になるような複雑なメカニズムではないのですが、実はこれ機械が針金を自動的に木製のハンドルに巻きつけてコルクスクリューを作ってしまうという製造方法に特許が与えられたのです。
「熟練したウェイターがワインの栓を開ける間にコルクスクリューを一つ作ってしまう」
と言われたほど効率的な機械で人々から驚きを持って迎えられたそうです。”
それまではシャフトとワームは鋳造するか機械で曲げるかして作り、後で別に作ったハンドルに手作業で取り付けていた訳ですから、何と言っても画期的ですよね。
”
と言うわけで、いかにもアメリカらしい機械で自動的に量産できるタイプであることから、単価が非常に安くなり、広告を記載して、宣伝用の配布品として使われるようになったんですね。
そこで写真の品物です。 真っ赤に塗った木製のサヤに書いてあるのは薬屋さんの宣伝のようですが全部フランス語なのです。 お店の名前の下には住所も書いてありまして、大聖堂で有名なアミアン市になっています。 薬やさんの宣伝ということは、このコルクスクリューがワイン用ではなくて、薬ビンのコルク栓を開けるのに使われていたということがわかりますね。
ではこの製品はフランスの薬屋さんがアメリカに発注して作ったアメリカ製なんでしょうか。 ヒントとして以下のような説明が以前のページにあったのを思い出してください。
”クロウが特許を取った 1876年と言うのはアメリカの独立百周年だったので、クロウが作ったこの機械はフィラデルフィアで開催された百年際でも展示され大好評のようでしたし、2年後のパリの万国博でも大喝采を博し特別賞を受けたということです。”
そうです。 クロウの作った機械は1878年のパリ万博で好評を博して、当然多くの機会がフランス人業者によって購入されたと考えられます。 したがって、アメリカ製のコルクスクリュー製造機械によってフランスで作られたフランズ製のコルクスクリューというのが正しいですね。
一般にクロウの製品を見ると、すぐに「アメリカ製だ」と思いたくなるのですが、このような事例があるので国籍判定はそんなに簡単ではありません。 宣伝のコピーがこんなにはっきりしていれば素性がわかりますけどね。
このように素性のわかる刻印などがあるアイテムはアンティークマーケットでは評価が高いので、普通のクロウよりはちょっと高くなりますが、なにせ量産品ですからお買い求めやすいお値段です。
(1ポンド=約190円) |