ヘンシェルについてはストレートプルタイプのところでも説明をしてますし、このシリーズの第一回目である Week1 でご紹介しました。 その後 Week76、 Week77 と立て続けに少しずつ異なるデザインのものをお見せしましたが、これまではいずれも英国製で、いかにも19世紀英国のアンティークという趣きのものが多かったですね。
今週のはかなり珍しいと言って良いと思いますが、アメリカ製のヘンシェルタイプです。 シャフトのところに
R.Murphy, Boston という刻印があり、ボストンで作られたもののようです。 アメリカのコルクスクリューはその実用性と大量生産性に重きを置いたデザインが早くから作られ、英国製のコピーのような製品は必ずしも多くありませんから、これはその例外と言ってもいいでしょう。
でも一見して、シンプルで何かモダンな感じがしますよね。 ハンドルがつるんとしたデザインですし、シャフトにもヘンシェル特有の装飾が一切ありません。 それともう一つの特徴は、ワームの長さが短い点です。 19世紀も後半になると、長めのコルク栓が減ってきたようで、一般にワームが短くなってきます。 特にアメリカ製のコルクスクリューにその傾向が顕著なので、アメリカに持ち込まれたワインは一般に短いコルクを使っていたということのようです。
ワームの形も英国のヘンシェルタイプの大部分がワイアへリックスと呼ばれる針金をらせん状にしたようなものであるのに比べて、このアイテムはフランスでよく使われるセンターワームに近い形であることからも、「普通のヘンシェルじゃないな」ということはわかりますね。
アメリカンアンティークは、特に19世紀以前のニューイングランドのものになると数も少ないため、アメリカではコレクターによって値段が吊り上げられてしまう傾向があります。 このアイテムもロンドンで買ったんですが、英国ではアメリカンアンティークを若干バカにしたような部分があるので、アメリカで買うよりはかなり安く買えました。 特にこうした刻印のあるアイテムには、英国コレクターですら高めの値段を払いますから、まず100ポンドは下らないでしょうね。
(1ポンド=約190円) |