トマソンタイプについては前回のWeek74でご紹介する以前にもWeek58 で生い立ちやメカニズムを詳しくご紹介しましたが、英国の誇る19世紀半ばのメカニカルなコルクスクリューの代表選手であることはすでに述べたとおりです。
コレクターであれば少しずつ特徴の異なるトマソンを何本かは持っているはずで(もちろん中には何十本も持っている人がいる)、江口のコレクションからも何本かご紹介しました。 これらはトマソンタイプ(*)と呼ばれるものですが、今回のはトマソン氏の工場で作られた一番初期のオリジナルものである(らしい)というところが最大のポイントです。
(*)本シリーズの第一回目のWeek1でご紹介したヘンシェルもほとんどがヘンシェル・タイプであって、ヘンシェルの特許を利用して作ったものですが、ヘンシェル氏の工場で作られたオリジナルのヘンシェル(特有のマークが彫られている)はきわめて希少品とされていてお値段も一桁違います
トマソンタイプのほとんどのものに、金属製のバッジがついていて、ライオンと一角獣に支えられた英王室の紋章のようなデザインの中央の部分に
"Thomason's Patent"という言葉と "
Ne Plus Ultra" というトマソン氏自身がこのデザインに命名した「究極の」という言葉が彫られています。
このバッジのデザインは1802年に王室からデザイン特許を与えられたときに同時に使用を許されたとされているものですが、トマソン氏がコルクスクリューを作り始めるまでは金属製のボタンを作っていたということからなるほどナットクというデザインでもあります。
特許をとる1年前の1801年に第一号が作られて、(当時はひとつ
1ギニーという大変高価なものだったそうです)、その後14年間は特許で守られていたのですが、トマソンの工場だけでは伸びる需要に追いつけず、いろんな会社がトマソンタイプを作っていたということのようです。
トマソンオリジナルの特徴はフレームの形にあります。 後期のものはフレームの肩の部分が丸みを帯びてきてなだらかなカーブを描いているのですが、円柱部分を上からふたで押さえたような作りになっていて、肩の部分が角張っているのがトマソンオリジナルの特徴だといわれています。
もっとも普通のトマソンタイプが 300〜400ポンドだとすると、このトマソンオリジナルだと最低でも600〜700ポンドくらいにはなるでしょうか。 トマソンはそれほど大量に作れる製品ではないのですが、19世紀の前半当時大変な人気を博したことと、現代のコレクターたちの最大注目アイテムの一つなので、オークションには毎回何十本もが出品されます。 少しずつデザインに特徴があるものもあり、これを集めだしたら大変です。
(1ポンド=約190円) |