イタリア製のアンティークコルクスクリューとしては、これまでも18世紀の素朴なものから、重厚なマッシブ、それとイタリア特有のデザインであるコーヒーグラインダーなどをご紹介してきました。 そのほかに、ブラス製の特徴的なダブルレバーもありましたね。
ダブルレバーは英国が発祥の地なのですが、イタリアでも結構作られたデザインです。 現代のものとしては人気を集めている ALESSI の女性の形をした大き目のダブルレバーなどがありますよね。
今週ご紹介するのは、20世紀半ばごろと比較的新しいものなのですが、革新的な発想のものです。
私は、何百何千とある種類のアンティークコルクスクリューを、メカニズムを中心とした分け方で分類するようにしていますが、中にはレバー式のコンビネーションとか、ポケットタイプのレバー(ソムリエ・ナイフがまさにこれ)などがあって、すっきりとは分けきれないものです。
それにしても、ポケットタイプのダブルレバーというのは、きわめて珍しいのでご紹介する次第です。
イタリア語でコルクスクリューのことは
Cavatappi
と呼びますが、ポケットに入るという
Tascabili
がついて、ダブルレバーのメカニズムまで全部言うと、
Cavatappi tascabili con a meccanismo
de due
leve ということになるんだそうです。 (カヴァタッピ、タスカビーリ、コンア、メッカニーズモ、デ、ドゥ−エ、レーべ ですね。 母音を強めにイタリア語らしく発音してみてください。 なかなかもっともらしいですよ)
イタリアはトリノの Vogliotti社の製品であるむねのマークが付いています。
ダブルレバーでは両手を使ってレバーを押し下げるので、コルクスクリューはボトルのネックのところにきっちりと納まっていなくてはなりません。 そのために、フレームの下部にボトルの口にフィットするリング状の部分がなければいけないわけです。 このメカニズム上の要請が、ポケットタイプには不向きということであきらめられていたのでしょうが、このカバタッピはそのリングを折りたたみにすることによって解決してしまいました。 レバーの部分も微妙にカーブがつけられており、たたんだときに手のひらにすっきり収まりやすく考えられています。 一般のポケットタイプよりは大き目ですが確かにタスカビーリであります。
ポケットタイプはそのほとんどがストレートプル式なので持ち運びは簡便なのですが、コルクを抜くという目的のためには「ないよりはまし」という程度の機能のものも少なくありません。 でも、このカバタッピ・タスカビーリは機能面ではダブルレバー特有の使いやすさをもっていて、なかなかのスグレモノであります。
20世紀も半ばのものですから、アンティーク的な価値はありませんが、現在では作られていないらしく、コレクターのあいだでは人気アイテムのひとつです。 200ポンドくらいの値段がつけられているようです。
(1ポンド=約190円) |