Corkscrew of the Week


お正月を飾って取っておきをお出ししましょう。 英国製です。 英国ではゴルフクラブでも競馬場でも 「ロイヤル」と名がついたらランクが全然違うんだと言うような話しを良く聞きますよね。 今週のコルクスクリューはその名も 「ロイヤルクラブ」といいます。

Corkscrew of the Week #059 ( Jan. 1 2001)
英国製 19世紀前半


メカニズム的にはレバー式の中のシングルレバーです。 レバー式のページの3番の項目でも説明したように、バランスが悪く実用性の高いものが少ないメカニズムです。
このロイヤルクラブが例外的に実用的かと聞かれれば「ノー」と言うしかありませんが、シングルレバーとして優れているかと言えば間違いなく 「イエス」です。

ではどこが優れているのか検証してみましょう。
このメカニズムは英国はバーミンガムのチャールズ・ハルと言う人が特許を取ったもので、大変な工夫の跡が見られます。
まずレバーの仕組みです。 フランス製のペリーユ社のものなど普通のシングルレバーでは、ダブルレバーとまったく同じように一つの方向に力を傾けて行くのですが、ロイヤルクラブは(写真をクリックして拡大写真で良く見てください)レバーを押し下げると微妙なカーブのついたレバーの根元の方がシャフトの中心に位置するガイドの間を通ることによってシャフトを上に押し上げるようなメカニズムになっています。 レバーを下に押し倒すと言うよりは、レバーで上に押し上げるような感じになる訳です。 この構造上の工夫によって (ダブルレバーとは違ってシングルレバーの宿命的とも言える)一つの方向に倒れてしまうという欠陥を最小限にしようとしているのです。

もう一点の工夫はフレームの最下端からバッジ様の突起が出ている点です。 C. HULL PATENT ROYAL CLUB BIRMINGHAM という名前が彫り込んであるので、商品名を記載した装飾部分のように見えますが、そうではないのです。 シングルレバーという左右対称でないでコルクを抜くには明確な支点がないとバランスが崩れてしまうわけですが、この問題は第一の工夫だけでは解決はされていません。 そこでハルさん、ボトルの口の側面にあてがいてこの支点の役割をするこの突起をくっつけた訳です。 この突起部分とボトルの首を一緒につかんで押さえると、きわめて安定した状態でレバーを操作することができます。

第一の工夫の結果、フレームの上部が普通のものの倍くらいに長くなり、第二の工夫のためにフレームの下部に5センチくらいの突起ができ、巨大なコルクスクリューとなっています。
私はこのチャールズ・ハルという人、そしてその作品であるロイヤルクラブというコルクスクリューを敬愛してしまうのです。 なぜならシングルレバーというほかの人が見放した言わば「欠陥メカニズム」を何とか実用的にしようと努力を重ね、その結果こんなに壮大なコルクスクリューを作ってしまったんですから、ロマンがありますよねー。

それにしても、「ロイヤル」の名に恥じないなんとも気高い雰囲気をかもしているこのアイテム、 コレクターの間でも大人気で、オークションくらいでしか手に入らないしろものです。 お値段は最低でも3500ポンド、状態の良いものだと、100万円まではしないけど・・・ と言うレベルになります。

(1ポンド=約190円)


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