Corkscrew of the Week


今週のコルクスクリューは、英国製のいかにもメカニカルなフレーム式です。 平たいデザインのフレームに対し、直角の方向に小さなネジ様のものがついていて、一旦ワームをねじ込んでからこのネジを回してコルクを引き抜くものです。 シャフトについた刻み目が板歯車(ラック)の役目を果たしており、ネジの先端に付いた小さな歯車(ピニオン)でシャフトとワームを引き上げるので、こうしたメカニズムのものを 「ラックアンドピニオン」と呼んでいますが、このデザインは特にロンドンで流行ったため、「ロンドンラック」と名づけられています。

Corkscrew of the Week #005 (Nov. 4 2000)
ロンドンラック 英国製 19世紀後半

英国で最初に作られた複雑メカ二ズムのものは、何といってもトマソンですが、その後きわめて格調の高いラックアンドピニオン式のものが作られました。 キングズスクリューと呼ばれるもので、コレクターの間では大変な人気アイテムですが、デザインも重厚で、必ずしも実用的なものではありませんでした。 キングスクリューのそうした欠点を補って作られた当時の実用アイテムがこの 「ロンドンラック」 です。
キングスクリューはなかなかユニークなメカニズムを採用していると思うのですが、一部の趣味人を対象に作られていたためか特許を取らないまま普及してしまったので、同じメカニズムをちゃっかり借用したこの 「ロンドンラック」 も特許の対象にはなっていません。

この当時の一般的な特徴として、ブラシの付いたものがほとんどです。 またオレンジっぽいゴールドの塗料で仕上げてあるものも少なくありません。 こういうデザインが施してあるということは、おそらく百貨店などで販売していたということであって、一般にハンドルはそんなに凝ったデザインでないこととあわせ、このデザインが当時の新しい高級品好きの都会人消費者を対象にしたものであったことがうかがわれます。

状態にもよりますが、お値段は 150ポンド前後です。 平たいフレームがロンドンラックの特徴で、4本柱のデザインとか断面が正方形に近いデザインのラックアンドピニオンが売られてたら (そしてそれがすごーく高かったら) それは 「キングズスクリュー」です。 キングズスクリューもいずれご紹介しますが、まずは身近なほうからお見せしました。


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