メカニカルなコルクスクリューの仕組みの細部をくどくどと文章で説明するのが(読んでる人に分かろうが分かるまいが?)大好きなえわたくし江口でありますが、今週のは単純です。
ご覧の通り普通のT型コルクスクリューですが、良く見るとハンドルの両端にナニヤラ金属のボタンのようなものが付いています。
ちょっと飾り模様の付いたブラス製のボタンです。
さて、これは一体なんでしょうか? 次の中から選んでください。
@ ただの飾り
A その家の家紋入りボタンが付いたファミリーアイテム
B ハンマーとして使うための補強
(@ じゃないなー A はもっともらしいけど意外と違うんじゃないかなー、などと一応の仮説を立ててから以下をお読みください)
このアイテムは19世紀の前半かあるいは中頃のものと思われます。
シャフトやワームの形からみてもそれ位の古さであることが分かります。
その頃にはワインにコルクせんをした後、ボトルの口のところをろう(ワックス)で密閉したんですね。
保存状態をよくするためというよりも、封印するという意味の方が大きかったんだと思いますが、この役目は現在では金属キャップで代行されています。
ところで、金属箔のキャップを外すのには、ソムリエナイフでカットするか、最近ではキャップカッターがくっついたデザインのコルクスクリューもあってずいぶん便利になりました。
19世紀の時代にも、このワックスのシールを外すための道具が求められていたんですね。
(今でもカナダのメープルシロップのボトルで口のところをワックスで固めた壷入りのものがありますが、お土産にもらうとこれを開けるのが結構大変なんですよね。)
ナイフで削るとか、錐のようなもので削り取るわけですが、いつも手元にそういう道具があるとは限りません。
19世紀のワイン飲みたちがよくやったのは、コルクスクリューのハンドルでワックスたたき落とすという手法です。
そのためにハンドルの両端がだんだん欠けてきたりするわけですが、それを補強するためにこういう金属製ボタンを付けるということが考え出されたものです。
という訳で答えはB です。 19世紀のヘンシェルなどの木製ハンドルの両端がかなり痛々しく傷ついているケースがありますが、こういう行為によって傷つけられたものだろうと思います。
コレクションアイテムとしてはそういう傷は困りものですが、150年くらい前にこのハンドルでワインボトルのワックスを叩き落としてた人がいたんだなー、などと感慨にふけるのもまた良いではありませんか。
江口は比較的お安く手に入れましたが、めったに見られない珍しいアイテムで、お値段は不明としておきます。
(1ポンド=約190円) |