Corkscrew of the Week


先週に引き続き、アメリカ製のものをご紹介します。 先週のはアメリカものにしてはちょっとフラッシーだったので、今週は素朴ながらアメリカ初期のアンティークの風合いを持ったアイテムです。 一方でアメリカ合理主義の象徴とも言える面も併せ持っています。

Corkscrew of the Week #036 (July 1 2001)
アメリカ製 19世紀後半

コルクスクリューの分野でも、19世紀の半ば過ぎからアメリカがヨーロッパの先進諸国間の新製品競争に参入するのですが、アメリカらしく大衆用のものを量産するという目的で作られたものが多いため、アンティークとしてはクオリティー的に今一つと言わざるを得ません。

というのが先週の説明にありました。 でも読み返してみると、現代の価値観で質をうんぬんしているような気がして、ちょっと反省しています。 実は素朴に見えるこの製品が登場した当時、コルクスクリュー史上でもある意味で画期的な製品として大人気だったのです。

写真のコルクスクリューはアメリカはニュージャージー州ニューアーク(今は飛行場のあるところですが、古くから工業地帯として有名ですね)に住んでいた W.ロックウェル・クロウという人が1876年に特許を取ったものです。 コルクスクリューを見る限り特許の対象になるような複雑なメカニズムではないのですが、実はこれ機械が針金を自動的に木製のハンドルに巻きつけてコルクスクリューを作ってしまうという製造方法に特許が与えられたのです。 「熟練したウェイターがワインの栓を開ける間にコルクスクリューを一つ作ってしまう」 と言われたほど効率的な機械で人々から驚きを持って迎えられたそうです。 機械生産のこのコルクスクリュー、簡単な作りのストレートプルの割には使い勝手もまあまあです。

それまではシャフトとワームは鋳造するか機械で曲げるかして作り、後で別に作ったハンドルに手作業で取り付けていた訳ですから、何と言っても画期的ですよね。 クロウが特許を取った 1876年と言うのはアメリカの独立百周年だったので、クロウが作ったこの機械はフィラデルフィアで開催された百年際でも展示され大好評のようでしたし、2年後のパリの万国博でも大喝采を博し特別賞を受けたということです。

ワインがごく一部の金持ちだけにたしなまれていた時代と違って、大衆がそれを楽しみはじめたという時代背景が、こうした大量生産のコルクスクリューを生み出したのです。 特権階級のものだった楽しみを一般の人々に可能ならしめるということについては、歴史上いつもアメリカが大きな役割を果たしてきたわけですが、これもその好例の一つだと言えるでしょう。 (アメリカのバイタリティーの源泉ですねー ・・・ この辺の発言がアメリカかぶれと言われるゆえんです)

この製品の事業家でクロウさんが (ビル・ゲイツさんなど) 現代のアメリカ実業家のようにひと財産築いたのかどうかまでは記録が残っていません。 でも単価が画期的に驚くほど安く作れたのは間違いないでしょう。 現在でもこの百年以上前のアイテムが一つ 30ドルくらいで買えるんですから ・・・・ 。

(1ドル 大体 120円です)


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