コルクスクリュー よもやま話
1.もしもコルクスクリューがなかったら
もしもコルクスクリューがなかったらどうやってコルク栓を抜くか。 古今東西こんな事が行われたのかなと思われることを列記してみます。
どこにでもあるものを使うとなるとナイフかはさみで上からほじくって行く。 本人は意味があることだと思ってやるのだが、結局は上からの力がかかるためコルク栓がボトルの中に落ちてしまうのがオチ。 それでも中身にはアクセスできるからまあいいか。
コルクの下のほうから圧力をかけないといけないと思い付いた人は、やおらボトルをさかさまにして、そこを手のひらでびしびし引っぱたくという方法をとる。 現代ではワインが泡だらけになって品質を損なうことくらい誰でも知ってるからこんなことはしないだろうけど、江口のオヤジの時代までは身近でもやっていた。 医者・看護婦を中心に注射液のアンプルの印象があるのか、ボトルの首のところをへし折ろうとする一群の人がいる。 これ相当乱暴な人たち。(お医者さん、看護婦さん、見てたらごめんなさい)
今まで聞いた話で最高なのは、ある本で読んだ一昔前の北ヨーロッパのオジイサンの話。 オジイサン汽車で旅行してた。 今日は長距離の旅程ということで駅でパンとワインを買い込んだのだが、いざ昼食という時にコルクスクリューがないことに気がついた。 かばんをひっくり返しても金属製の道具は金属製の爪やすりくらい。 オジイサンあわてず騒がず、その爪やすりで汽車の荷物棚のネジを一つ外しはじめた。 外し終わるとそのネジをコルクにねじ込み、これも外した靴ひもを結わえて引っ張って見事にコルクを引き抜いたんだって。 信じられない? じゃ、試してみれば良いじゃないの。 わたくし? 江口はもちろん試したことありません。
2.究極のボトルオープナー(1)
ワインボトルの首をへしおるなんて、乱暴なことのように言いましたが、じつはこれ究極のボトルオープンの方法なんです。 コルクスクリューは腕力を使わなくても楽に抜けるというのが一つのゴールなんですが、もう一つ重要なのは失敗せずに確実に抜けるということ。 特にコルクがもろくボロボロになったようなのをどうやって抜くかで皆さん苦労してきたのです。
そういう意味で一番むつかしいのは、ビンテージ・ポルトのコルク栓です。 ポルトは糖分が高いため長年寝かせておくとコルクがもろくなってしまう上、ビンテージ物はオリが多いためボトルを揺らすことなく抜くことが必要なのです。
こうしたビンテージボトルを開けるのに発明されたのが「ポルト・トング」というシロモノで、先が丸くなった金てこのようなものに植木屋さんのはさみのような木の柄がついてもの。 先っちょの鉄でできた部分を真っ赤に火で熱し、そっと立てて置いたポルトのボトルの首のところにあてがう。 ガラスの首の部分だけが十分に熱くなったところでトングを外し、そこに軽くぬらした鳥の羽をあてがう。 すると急激な温度差で、注射のアンプルよろしく首がポンとばかりにすっ飛ぶというのです。
もちろん江口は試したことはありませんが、このポルト・トングなるもの、イギリスのアンティークのお店ではお目にかかったことがあるし、実際に使ったという人には何人も会ってるので、これはホンモノです。
3. 究極のコルクスクリュー(2)
アンティークの話ばかりをしてきましたが、究極のコルクスクリューとして将来語られるであろうと思うのは、今一番売れている ”スクリュープル”っていうヤツ。 本ページのフレームタイプの項で述べたとおり、機能的には100年近く前からあったメカニズムなのですが、最新技術を駆使してそのメカニズムが本当にうまく作用するようなものを作ったところがすばらしい。
長年の人類の夢であった、「失敗せずに確実にコルク栓が、しかも楽に抜くことができる」コルクスクリューがいよいよ登場したのかなという感じがします。
4.ミディアム・レアを集めよう
イギリスあたりでは20世紀初頭のものはアンティークというにはちと恥ずかしい。 (アメリカでは20世紀初頭のものは堂々とアンティークですけどね) 17−18世紀のものになると胸を張って、これは18世紀のだから ”レア” だなどと言う。 (rare−希少であるという意味ですゾ) こっちのは?って聞いた時にそれが19世紀ものだと ”ウーン、それはミディアムレア”だといったオジサンのジョークが今でも忘れられない。
コレクションするなら、やはりミディアムレアくらいのものは狙いたい。 値段の安いのばかり買ってると数が増えてきた時に前に買ったのがイヤになってくるもの。 いきなりレアものは買えないにしても、一つ一つある程度はこだわらないとガラクタの山になってしまうのです。 (誰ですか? 江口のコレクションみたいって言ってるのは)
5.アンティーク・コルクスクリューどこで買うの
残念ながら日本では入手が難しいようです。 一番良いのは、イギリス。 ロンドンのポルトベローやキングスロードにはアンティークコルクスクリュー専門の店があるし、郊外のアンティークやさんにいくとまず一件にいくつかは置いてあります。 イギリスの業者は物件の素性を良く知ってるし、安心して買えます。 フランスはパリのルーブルのとなりにアンティークマーケットがあり、そこにも専門の店があります。
外国まで買いに行けないと言う人は、アメリカ人でホームページを開いてアンティークコルクスクリューを商ってるひとが何人かいます。
一番の快感はなんと言ってもオークションハウスで競り落とすこと。 ロンドンはサウス・ケンジントンのクリスティーズで年に二回ほど、アンティークコルクスクリューのオークションが行われます。 ここに行くと世界のコレクターたちに会えるんだけど、なぜかいつも高額品を落とすのは姿の見えない電話参加の御仁なんですよね。 日本人じゃないかって言う人もいるんだけど、誰か知ってたら教えてくださーい。